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第6回 理事 横山 研治

日本のこれからの経済社会を先導するリーダー・幹部人財に求められる視座として、3つの観点からお話ししたいと思います。


まず、知識を基盤とした視座です。日本企業は高品質なモノやサービスの提供をその強みとして発展を遂げました。そこから培われた経済力を重視するのは当然でありますが、そこを基礎としてデータや情報を駆使した新しい価値や価値観を提供する経済社会に舵を切る必要があります。このような知識基盤社会を作れるのは高品質のモノやサービスに基づく経済を作り上げた社会だからこそ可能となります。言葉を変えれば、それを成し遂げた日本は次の次元である知識基盤社会を構築する使命があります。

次に、国境を越えたグローバル社会という視座です。これは言い古された言葉ではありますが、このような視座を持つことは日本人には簡単なことではありません。むしろ心からそのような観念を持つことは困難かもしれませんが、少なくとも企業経営においてはその政策としてグローバルであるべきであるということとともに、それは経営者の一挙手一投足にも現れる必要があります。


3つ目は歴史観と哲学です。この点は特に第一にお話しいたしました知識基盤社会への転換と密接に絡んでいます。実体経済としての高品質の財やサービスの提供を行なってきた経済からデータや情報といったものを材料とした価値観の提供は歴史の自然な発展や人類の将来の発展がどうあるべきかという哲学に基づく信念がなければいけません。価値観の提供は社会から自然に受けいられるかという点とともに、社会の未来像をも決定することですから、企業経営者は人類の将来を託せる哲学がなければいけません。


そのような視座を育成していくために産業界や教育界が強化すべき活動として、企業内の研修や学習会が無駄とは思いませんが、そのような活動は実際的になりがちで、実質的なことが企業内あるいは企業が開催する研修が評価される基準となりがちです。従来の研修は個々の経験を昇華させ一般化させるような活動が必要となります。つまり、研修の成果が個人の成果として帰結するような研修や学習の機会が必要となります。その際に重要になるのは評価方法です。教育の展開はその評価方法によって初めて可能となります。そういう意味で、今後の企業教育や研修はその評価方法の改革が基本となります。


当機構が貢献していくために必要な、これまでの人財育成の機能と異なる機能活動として、他のビジネススクールや教育機関さらには研修を行う企業に対して、必要なビジネス教育の哲学や考え方さらにはメソッドやノウハウの共同研究や提供を機構のミッションとすべきと考えます。


個人的な貢献としては、今までの活動から得られた内外のビジネススクールのネットワークを活かした貢献ができれば幸いです。

                                      

理事 横山 研治
NUCB Business School
Senior Associate Dean